コラム

  1. ホーム > 
  2. コラム >
  3. 1級自動車整備士の試験内容と受験資格、難易度を解説!

サイトからのお知らせ

2025/04/30

1級自動車整備士の試験内容と受験資格、難易度を解説!

1級自動車整備士の試験内容と受験資格、難易度を解説!

自動車整備士の中で最難関とされる「1級自動車整備士」。この資格を取得すると、自動車整備に必要な幅広い専門知識と高度なスキルを身に付けることができます。そのため、自動車の整備業界で多くの場面で活躍するチャンスが広がります。

この記事では、1級自動車整備士の仕事内容や試験内容、受験資格、難易度について解説します。

1級自動車整備士の仕事内容とは

1級自動車整備士の試験内容と受験資格、難易度を解説!_1級自動車整備士の仕事内容とは

1級自動車整備士は、3級から1級まである自動車整備士の資格の中で最高峰にあたるものです。資格を取得すると、ガソリン車やディーゼル車はもちろん、電気自動車やハイブリッド車といったあらゆる自動車の整備が可能となり、電子制御技術などの最新技術にも対応できます。

整備作業としては、基本である点検のほか、エンジンやブレーキなど車の重要な部品の分解・整備も行えます。

分解整備では、エンジンやトランスミッションなどの重要な部品を分解し、故障の原因を特定して修理します。この作業は高度な技術を要し、1級または2級の自動車整備士資格を持つ作業員が在籍する認証工場でのみ行うことができます。

さらに、電子制御装置に関するメンテナンスも行い、自動ブレーキや先進安全技術を搭載した車両の整備を行います。整備だけでなく、他の整備士の指導・管理を任されるケースもあり、自動車整備の最高峰の資格であることがわかります。

2027年以降の資格変更について

1級自動車整備士は2027年4月以降、名称が変更されることが決定しました。

1級自動車整備士の試験内容と受験資格、難易度を解説!_2027年以降の資格変更について

1級大型自動車整備士と1級小型自動車整備士の区分がなくなり、資格の数が3つから2つになります。この変更により、1級と2級の役割を明確化するとともに、制度を見直すことで、より高度な人材の育成を目指しています。

・2級自動車整備士、3級自動車整備士について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
2級自動車整備士の試験内容と受験資格、難易度を解説!
3級自動車整備士の試験内容と受験資格、難易度を解説!

1級自動車整備士の受験資格

1級自動車整備士の試験内容と受験資格、難易度を解説!_1級自動車整備士の受験資格

1級自動車整備士の試験は、だれでも受験できるわけではありません。いくつかの条件を満たす必要があります。2つの受験資格を得る方法について解説します。

最も早い取得方法(実務経験なしの場合)

一種養成施設が提供する1級整備士コース(4年制や5年制)を修了すれば、受験資格を得ることができます。このコースを卒業すると、実務試験が免除され、学科試験に合格するだけで資格が取得できます。ただし、この道にはデメリットがあります。この施設での学びには、4年間で約500万円ほどの学費がかかり、在学中は整備士として働けないため、経済的な負担が大きい点に注意が必要です。

2級資格+実務経験で目指す方法

一方、養成施設を経由しない方法としては、まず2級自動車整備士の資格(二級自動車シャシ整備士は除外)を取得し、その後整備士として3年以上の実務経験を積むことで受験資格を得られます。こちらは学費が不要なため、働きながら資格取得を目指せる分、経済的負担は抑えられます。ただし、1級資格を含めて最終的に取得するまでに7年以上かかる場合もあり、時間がかかる点がデメリットと言えるでしょう。

よく選ばれる方法

世の中では、一種養成施設の1級整備士コースを卒業して資格を取得する道を選ぶ人が多いです。なぜなら、知識やスキルを一からまとまった形で学べることに加え、実務試験が免除されるため、比較的早く資格を取得できるからです。

どちらで資格を目指すにせよ、時間の使い方とお金のかかり方で慎重に選ぶ必要があります。

1級自動車整備士の試験内容と難易度

自動車整備士の資格は3級から1級まであり、1級は最も難易度が高い試験です。試験は年1回実施され、学科試験が2回、実技試験が1回、合計3つの試験に合格しなければなりません。具体的な試験内容についてまとめました。

試験内容について

1級自動車整備士の試験内容と受験資格、難易度を解説!_試験内容

試験は学科試験(筆記試験、口述試験)と実技試験に分かれています。

<学科試験(筆記試験、口述試験)>
最初は筆記試験を受けます。試験内容は、自動車の構造や機能、点検・修理に関する基本的な知識だけでなく、環境の保護や安全管理に関する知識も問われます。筆記試験に合格した場合に口述試験を受験できます。

<実技試験>
実技試は、学科試験の合格者のみ受験できます。試験内容は、自動車の点検や分解・組み立てのほか、整備に使う工具や機器の取り扱いなど、実務スキルがチェックされます。ただし、一部の学校や施設で決められたカリキュラムを受けている場合、この試験が免除されるケースもあります。

合格率について

日本自動車整備振興会連合会が公表している試験結果を参照すると、近年の1級自動車整備士の筆記試験の合格率は約51%~60%で、半数以上が合格しています。口述試験の合格率は約97%と高く、対策をして試験に臨めば合格しやすいといえるでしょう。

一方で、実技試験の合格率は約64%ほどですが、養成施設で所定の課程を修了した場合など免除される場合もあるため、人によって異なります。これらすべてを通しての最終的な1級の合格率は20%程度と低く、難関資格と言えるでしょう。参考までに、2級の合格率は約40%~90%、3級は約60%~80%です。

試験対策の方法について

自分でできる受験対策としては、自動車整備振興会が発行している教科書を購入したり、自動車整備振興会のサイトに掲載されている過去問を解く方法があります。また、自動車整備に役立つスマートフォンのアプリもたくさんあるので、それらを活用して学習を進めるのもよいでしょう。

口述試験用のガイドブックや練習テキストも入手しやすく準備されているので、合格率は高いものの、模擬試験形式で事前に練習すれば、さらに安心です。

実技試験については、各都道府県の自動車整備振興会が開催している講習などがとても役立ちます。この講習に参加することで実技試験が免除されることもあり、残りの勉強時間を筆記試験対策に集中しやすくなります。

ぜひ、効率的に準備を進め、難関の1級資格取得を目指してください。

1級自動車整備士の資格を取得するメリット

1級自動車整備士の試験内容と受験資格、難易度を解説!_1級自動車整備士の資格を取得するメリット

1級自動車整備士の資格を取得する最大のメリットは、キャリアパスの選択肢が広がることです。ガソリン車・ハイブリッド車・電気自動車など、幅広い車種の整備や修理に携わることができる上に、将来は将来は管理職になったり、若手整備士に技術を教える役割を目指せるチャンスも広がります。

さらに、働く職場の選択肢も増えます。民間工場やディーラーだけでなく、車のメーカー本社やそのほかの専門性が問われるお仕事でも役立つようになります。単に整備士で終わらない、自分だけのキャリアを作ることが簡単になります。

最近の自動車業界は「100年に1度の大変革期」といわれる激動の時代にあります。自動運転や電気自動車(EV)といった技術が登場する中で、これまで以上にハイレベルな知識や技術力を持つ1級自動車整備士は、より注目されていますし、ニーズもどんどん大きくなると考えられます。

給与面に関しては、2級自動車整備士の平均年収が約380万円~420万円であるのに対し、1級自動車整備士の平均年収は約420万円となっています。整備士の年収としては大きな違いはないものの、キャリアパスの選択肢が広がる点や転職時の需要の高さを考えると、1級自動車整備士の資格は給与以上の価値があるといえるでしょう。

・自動車整備士の給料についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
自動車整備士の給料はいくら?整備士で高い給料を目指す方法

1級自動車整備士資格は整備士の最高峰で将来の選択肢も豊富

1級自動車整備士は、自動車整備士で最高位の国家資格です。受験の難易度は高く、合格率は約20%と難関ですが、資格を取得することで自動車整備士として幅広い業務に携わることが可能となります。

また、1級自動車整備士はキャリアパスの選択肢も豊富です。幅広い車両の整備に携わり、整備士としての知識・スキルを磨けるだけでなく、管理職や技術指導員といったキャリアも目指すことができます。

今後、自動車業界は自動運転をはじめとする革新的な技術が登場し、交通の常識が変化していくことが予想されます。だからこそ、最新技術に対応できる1級自動車整備士は非常に貴重であり、取得する価値のある国家資格だといえるでしょう。

・自動車整備士への転職をお考えの方は、自動車整備士専門キャリアアドバイザーのサポート付き自動車整備士の転職サイト『メカニック転職ナビ』がおすすめ!

この記事の執筆者

メカニック転職ナビ編集部
自動車整備士の転職サイト「メカニック転職ナビ」の編集部です。自動車整備士の転職に役立つ情報をわかりやすくまとめてお届けします。