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2025/07/24
トラックドライバーの労働時間はどれくらい?1日の平均や残業規制、2024年問題を解説

トラック運転手は「長時間労働」というイメージを持たれることが多くあります。とくに、これからトラックドライバーとして働こうと考えている方にとっては、実際の労働時間や勤務の実態が気になるところではないでしょうか。
この記事では、トラックドライバーの1日の平均労働時間や残業に関する規制に加え、近年注目されている「2024年問題」による働き方の変化についても詳しく解説します。
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トラックドライバーの1日の平均労働時間は?

国土交通省の調査によると、トラックドライバーの1日の平均労働時間は約11時間46分です。2024年に施行された「改善基準告示」によって、以前より約40分短縮されたことが報告されており、主な要因としては運転時間の短縮が挙げられます。
法律では、トラックドライバーの連続運転時間は最大4時間までと定められており、その後は30分以上の休憩を取ることが義務付けられています。なお、休憩時間は10分以上の小休憩を複数回に分けて取得することも可能で、合計で30分を超えていれば問題ありません。
また、走行距離の長短によっても労働時間の傾向は異なります。
長距離ドライバーは、都道府県をまたぐ配送が多く、1回の運送で大量の荷物を運びます。そのため拘束時間が長く、荷待ちや積み下ろしの待機時間も発生しやすいです。場合によっては1日13時間以上拘束されるケースもあります。
一方、短距離・中距離ドライバー(中型トラック・宅配など)は、1回の運転時間は短めですが、1日8〜10時間程度で複数回の配送を行います。走行距離は短くても件数が多く、時間管理能力や効率的なルート選びが重要になります。
労働時間の上限や残業規制のポイントを解説

トラックドライバーの労働時間は、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)」によって規制されています。2024年4月からは、労働時間・拘束時間・残業の上限がより厳しくなりました。

また、労働基準法では、原則1日8時間・週40時間までと定められており、それを超える労働には36(サブロク)協定の締結と割増賃金の支払いが必要です。
事業者がこれらの法令に違反した場合、6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります。
こうした規制は、過労防止や安全運転の確保、労働環境の改善を目的としています。特にトラックドライバーの労働時間が長くなりがちな背景を考慮し、働き方と収入のバランスを保つための重要な制度といえるでしょう。
2024年問題とは?法改正でトラックドライバーの労働時間はどう変わった?
「2024年問題」とは、2024年4月1日から施行された改善基準告示により、トラックドライバーの労働時間規制が強化されたことで、収入減や人手不足の深刻化などが懸念されている問題です。
この法改正にも大きなメリットはあり、トラックドライバーの労働時間が短縮され、労働時の負担や健康被害が軽減につながっています。
2024年4月1日以前には、以下のような問題がトラックドライバー全体で問題視されていました。
- 長時間労働
- 労働基準法違反
- 健康リスクの増大
- 安全リスクの増大
2024年4月1日以降は、このような問題が改善に向かう一方で、労働時間の短縮によって収入が減るケースも発生しています。とくに歩合制の長距離ドライバーでは、稼働機会の減少が収入減につながるという声も多く、業界としての課題はまだ残っています。
労働時間の推移と今後の課題

厚生労働省の調査によると、2024年の道路貨物運送業の年間実労働時間は2,364時間と、前年から約3.4%減少し、過去5年で初めて2,400時間を下回りました。ただし、全産業平均(2,052時間)と比べると、今なお約15%長いのが現状です。
また、日本ロジティクスシステム協会のトラックドライバーを対象としたアンケートによると、2024年4月以降の労働時間に対する実感では、
- 「減少した」47%
- 「変わらない」45%
- 「増加した」9%
という結果でした。現場によってばらつきがあるため、今後も改善に向けた取り組みが求められています。
一方で、2024年問題により、トラック業界全体で輸送力の不足や物流サービスの低下も懸念されています。時間外労働の上限規制によって、これまでの輸送体制の維持が難しくなっているためです。
今後は、運賃の適正化やITの活用による効率化、荷主や消費者の理解と協力を得ながら、業界全体での構造改革が求められます。あわせて、賃金や待遇の改善を進め、人材確保に努めることも不可欠でしょう。
労働環境改善や働きやすさのための取り組み事例
トラックドライバーの労働環境を改善するため、企業ではさまざまな工夫が進められています。
たとえば、ある運送会社では毎月の安全会議を通じて課題を共有し、荷物の配置変更や荷主への協力依頼などによって荷役作業の効率化を進めています。
また、多くの事業者がデジタルタコグラフやGPSを使った運行管理システムを導入し、労働時間の「見える化」に取り組んでいます。さらに、「中継輸送」や「トラック予約システム」などを取り入れ、荷待ち・荷役時間の削減にもつながっています。
注目されているのが、荷台と車体を分離できるスワップボディコンテナ車両の導入です。荷物の積み下ろしをせずにすぐ交代できるため、ドライバーの拘束時間短縮につながります。
こうした取り組みが広がることで、持続可能な労働環境の実現と新たな人材の確保にもつながっていくと期待されます。
近年のドライバーの求人動向については、こちらの記事で詳しく解説しています。
『ドライバー職の求人動向は?トラック・バス運転手の年収推移や将来性も解説!』
トラックドライバーの労働時間、今とこれからのポイント
現在、トラックドライバーの1日の平均労働時間は11時間46分と、依然として長時間ですが、2024年の改善基準告示によって上限規制が導入され、改善の兆しが見え始めています。
ただし、労働時間の短縮による収入減や輸送力の低下など、新たな課題も浮かび上がってきました。今後は業界全体で、業務効率化や待遇改善、人材育成の取り組みを進めることが重要です。
持続可能な物流の実現に向けて、トラックドライバーの働きやすい環境づくりが今後ますます求められるでしょう。
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